スリランカ 天才発見 その2 |
彫ったものの顔に、彫刻家の魂が宿るのか、表情が神妙で気品があり何度見ても
心が引き締まります。なかなかこういう顔を彫れる人は少ないです。
彫刻家その人も、愛想笑いもせず静かな自信に溢れており、目と顔の全面に集中力が
みなぎっていました。
やがて、彼の紹介で若い男性がやってきて自分の作品も見てほしいと言ってきました。
最初は先の彫刻家の息子かと思ったくらい若くて、おしゃれなサングラスに光沢のある黒の
シャツを着て、とても彫刻家に見えなかったので、彼の彫ったものを見たときはハッとしました。
細部の仕上げ、全体のスケールといい見事というほかなく、キャラニヤの寺院の壁画を
モチーフにしたものは、その仕上げの美しさで先の年上の彫刻家を凌いでいます。
彼は5歳から彫刻を始め、20歳でスリランカでナンバー1になり、30歳になった今、
非常に高いギャラを取る芸術家になっているそうです。格好といいどこかあどけない
笑顔といい、私は「モーツァルト発見!!!」
かと興奮したのですが(さしずめ先のの彫刻家はパパ・ハイドン?)
作品を見ているうちに、何か作品に集中出来なくてそわそわしてきました。
彼の彫像には深いものが感じられないように思えたのです。
確かに全体的に綺麗だけれど、迫るものがない・・・・
でも隣に本人がいるので、正直な気持ちを表現できないまま何だかそわそわしてしまったのです。
鑑賞中、彼は言葉多くていねいに説明してくれて、冗談も上手いとても感じ良い人でした。
でも「日本には日本風のお釈迦様を彫って送ってる」と聞いたとき、この人の作品に
集中できない訳がわかった気がしました。
おもねって彫ったものを誰が魂をこめて拝むでしょう。
あとになってからも心に何度もよみがえってきては、再度見たいと思ったのは
最初に会った年配の彫刻家の彫ったもののほうでした。
私はその年配の天才彫刻家に制作を依頼することにいたしました。
是非とも自分でも持っていたかったのです。
「あなたの心から出たものを彫ってください」と言いたかったけれど語学力が
なくて残念です・・・
元天才少年でもペルゴレージのように作品が後世に残った人も数多くいますから、
青年彫刻家の作品が時間に堪えるのか、ほんの少しの作品だけ見てもわかりません。
彼の他の作品をもっと見たいとはそのとき思わなかったけど、彼の10代のときの
作品は見てみたいと思いました。
写真は依頼した彫刻家の作品
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