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YASMEEN ヤスミン 店長日誌::スリランカ 少年オミドゥ

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スリランカ 少年オミドゥ
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私がスリランカへ来る際に、仕事用のビザや荷物の通関で大変な御世話になった方でスリランカに住むロクさんという方がいます。スリランカではしばしば手続きの面で不備がなくともスムーズにいかないことがあり、ロクさんのような多方面に顔の利く人の協力があるかないかで、かかる時間と費用が違ってきます。

こちらでの生活が少し落ち着いたころ、社長とともにロクさんのご自宅にお礼に行ったときのことですが、車でも大変遠く細い道や農道のようなところへ入っていき、迷いながらやっと到着という場所でした。
ロクさんに限らずスリランカの人は、片道2時間以上もかかるところから毎日コロンボまで通勤しているのでその体力と気力には到底かなわんといった感じです。

道に迷ったので着いたのはあたりが暗くなってからでしたが、ロクさんと奥様、子供たちがとても歓待して下さいました。気持ちの良いリビングでミルクティーをいただいたり、裏庭でロクさんが採ったばかりのキングココナッツをいただきました。私はこのキングココナッツが大好きで、東南アジア周遊の際はほとんど毎日路上で売られてるこの実のジュースと、割って中の白い脂質のところを味わっていましたが、この部分はとてもハイカロリーでダイジェストしにくく、夢中で食べているとロクさんの奥様に「消化しにくいのであんまり食べては駄目よ」と諭されてしまいました。
スリランカではココナッツはタンビリという名称で親しまれています。

ロクさんには長男とその下に二人の小さいお嬢さんがいて、女の子二人は私を見て笑ったりはしゃいだり家の中を走り回ったり踊ったり、とっても活発でしたが、対照的に一番上の男の子のオミドゥは大変静かで 私と目が合い、私が微笑みかけてやっとかすかに微笑み返すという子でした。細身のきれいな顔立ちでナイーヴそうな印象の男の子です。しつけのきちんとしたおうちでは、家にお客さんが来ると親と一緒に子供もお菓子を出したりお手伝いをして小さなころから客人のもてなし方を学ぶのですが、ロクさんのご家庭も、小さな女の子がビスケットを運んだりお母さんを助け、オミドゥはお父さんの横にちゃんと座って、私たちの話を聞いていました。

オミドゥは社長に どんなスポーツを学校でしていますかと聞かれるまで一言も話さず、なんだか心ここにあらずという印象だったので、日本と違ってこうした内に籠る感じの子はここではちょっと珍しかったので 歓談中、さりげなくずっと彼を気にしていました。

会話も終わりにさしかかるあたりで、私たちの座る後ろの壁にかかってあった、小さい1枚の絵の話になりました。
ロクさんは それはオミドゥが初めて描いて賞をもらったものなんだと言い、その20cm四方のアクリルにはまった燃えるような色彩の美しい絵を壁から外して見せてくれました。それはオリジナルではなく記念にどこかで加工されたものでしたが、賞をとったその絵の載ってる本を見せてもらうと(確か日本が主催したコンテストで)世界中から参加者がいて驚きました。

稲穂の収穫の様子を生命力と愛情に満ちたタッチで描いていて、鎌をもって働く女性たちの表情が喜びにあふれていて美しく、後ろにいる牛もとてもかわいく、オミドゥの優しい目が感じ取った世界に感動して 私はオミドゥに心から賛辞を言うと、彼の表情が輝いて嬉しそうな笑顔が顔いっぱいに広がりました。
それは大きな変化でした。

ロクさんは、もうオミドゥは絵を描いていない、その絵が最初で最後ですと言いました。その言葉を聞いたとき私は残念に感じましたが 特にオミドゥの表情からは何も読み取ることは出来なかったです。

帰り道も彼のことが頭から離れず、社長に、スリランカで絵を描いたり芸術を学ぶのは難しいのかと聞くと、ここはそれどころじゃないからね、ときっぱり言われました。

子供のうちから勉強して将来にそなえないと周りに取り残されてしまうから、学校に入ったらあまり遊んでいられないのかもしれません。学歴社会のこの国は、少しでも良い条件の生活を目指すならば必死に勉強してレベルの高い大学に入るか、自分でビジネスを起こして成功するか、いずれにせよ よほど恵まれた環境にいる子供でない限り趣味にいそしむ暇はないようでした。

それからずいぶん月日がたって、つい最近マータラへフローラルシリーズの工場見学に行く際に別件でロクさんも同行し、ポルヘーナのホテルのロビーで、二人でお話が出来たので、ご家族はお元気ですか?オミドゥはどうしてますか?と尋ねたところ家族は皆元気で、オミドゥは今、自分で物語を書いている、そしてタブラを叩いていますとロクさんはどこか面映ゆい表情で話してくれました。独学で先生につかずギターも弾いているのだと。私が「すごい、彼は天才かもしれないですね」というとロクさんは嬉しそうに「私も妻もそういう特技はないのだが」と言って「でも彼はとても静かな少年です」と何度も静かな子だ、と繰り返しました。

創造力がきらきら輝き出したオミドゥ。
栴檀の双葉の頃の香りを嗅いでいるのかもしれません。

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