スリランカのスイーツ 「ドドル」 |
ドドルと書くのかドゥドゥルと書くのか定かではありません。スリランカ以外では全くと言ってよいほど知られていない食べ物ですが、大変美味しいので大のお気に入りです。
スリランカ南西部の聖地カタラガマの名産品としても有名ですが、社長が言うには本来南スリランカ全域で作られていたお菓子だそうです。カタラガマのドドルが有名になったのは、スリランカ中から人が集まるので、巡礼者用のお土産が発展したためでしょう。
コロンボで毎週のように開催されている見本市では、時々国内の物産展のようなものもやっているのですが、そうしたイベントに必ずと言っていいほど同じドドル売りの男性がいて、社長と私で密かにドドルおじさんと呼んでいます。この人も南スリランカの人で、カタラガマから20kmほど離れた町からわざわざコロンボにやってきてはドドルを売っています。
中国包丁そっくりの刃物で大きいドドルをリズミカルに切り分けて、試食用にお皿に載せては、次々売れていくドドルを、とてもいい笑顔で売っています。この人のドドルには4種類のランクがあってそれぞれ価格が違い、一番安いものは黒に近い色でカシューナッツもあまり入っておらず、高くなる毎に白っぽくなり味も非常に濃厚で、中に入るナッツも多くなります。ここのドドルはとても美味しく癖になる味なので、食べやすい、上から2番目のものをいつも購入するのですが、1kgで300円くらいでした。
ドドルは日持ちがし、常温で一か月は大丈夫と言われています。
社長の叔母様はドドル作りの名人で、マータラのKAMBURUPITIYAカンブルピティヤに住んで、商売ではなくドドルを作っていたそうです。カンブルピティヤのドドルと言ったら土地の人はみんな知ってるくらい有名だよと社長は言います。彼は「ドドルおじさんのドドルも美味しいが、それは君がいいドドルを食べてないので あれが一番と思ってしまうだけだ。すごくおいしいドドルは甘いけど甘さが気持ち悪くならないし、もっと複雑な色んな味がして次々食べたくなる。そしてもっと硬い。大したことのないドドルは甘いだけの味しかない。そして柔らかいです」
一般的なドドルを作るには丸一日程度かかりますが、その素晴らしいドドルを作るには二倍以上の工程が必要で、材料費を考えるとおよそ1kg700ルピー以上はとらないと割に合わないそうです。スリランカの物価を考えるとだいぶ高いですし、なにより大変手間がかかり面倒なので今は作る人がどんどん減っているのだそうです。社長の叔母様ももう辞めたということでした。
ドドルは作ったのちすぐに食べるのではなく、本来Arriconut flowerアリカナの花を包む外皮にくるみ、寝かせます。そうすると香りが付き、味が更に良くなります。昔のスリランカの人はよくアリカナの花の皮にお米を包み、それから食べていたそうです。
日本でいう竹の筒や笹の葉と同じようなものでしょうか。
「アリカナで包んだご飯は、いい香りがしてすごく美味しいけど今はもう見ない。アリカナが少なくなったので、バナナの葉っぱでご飯を包むようになった。今はそれも無くなったので、ビニールになった」
昔ながらの良い食べ物がスリランカで ゆっくりと無くなりつつあるようです。
とりあえずドドルおじさんが見本市に来てくれる限り、濃厚なドドルがコロンボで食べられなくなってしまうことはないでしょう。
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