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YASMEEN ヤスミン 店長日誌::スリランカ キトゥルハニー作り 1日目 『美味しい失敗作』

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スリランカ キトゥルハニー作り 1日目 『美味しい失敗作』
先週、新しい設備を導入し 製造の準備が始まったキトゥルハニー工場へ久々に社長と足を運びました。
工場はヌワラエリヤ県の小さな小さな村にあり、コロンボから車で約片道5時間ほどかかります。

今回は新しい設備を使用しての試作品作り。設備が出来る前のヤスミンのキトゥルハニー作りは、花の蜜を煮詰めて瓶に詰めるまで1ターン8時間もかけていましたが、社長の話によると新しい設備で作れば2時間くらいで出来あがってしまうのだとか。
話半分として聞いていましたが、さてどうなるのか。

自宅から昼前、車でのんびり出発。ヌワラエリヤ方面へ行くにはHATTONハトゥンに向かってひたすら山を昇って行きます。
やはり山のほうの空気は美味しく、蒸し暑い海側のコロンボとは全く違った気持ちよさがあります。
何度も何度も通っている道でも いつも山は楽しい。
茶園の看板やゴムボートでの川下りの看板がいくつも通り過ぎ、途中渓谷を眺めながら食事の出来るレストランにてスリランカ料理とバイソンの黒ビールでお腹を膨らませました。

車の中で一人で勝手に寝たら 道端に捨てて行くぞと社長に脅されたものの、やっぱり寝てしまいました。
幸い車外に放り出されることもなく「そろそろ着くから起きて」という彼の声で目を覚ましました。

村への風景は何も変わった様子はありませんでしたが、唯一 道路がきれいに舗装されていました。私が最後に訪れてから後、工場の落成式に大臣が訪れたので道路を舗装したのだとか。
お陰さまでガタガタ道で車内で体が跳ねあがっていたころに比べ 非常にスムーズに走行出来るようになり、これなら雨でも道の端がぬかるんでタイヤがハマることもないでしょう。
出来あがったキトゥルハニーを安全に運ぶためにも助かるというものです。

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見えてきた工場のすぐ隣には、以前にはなかった大きなボイラーが併設していてそこから煙が立ち昇っていて思わず興奮。
うぉぉぉ かっこいい!社長も「やってるな」と嬉しそうな声。
3件ほどの小さな店が並ぶ村の中心に工場はあって、買い物をする人やお茶を飲みに来た人などが通りにちらほら。

車から降りるとすぐにパートナーのアロナさんとラクマールさんが出てきて 挨拶をかわして色々話をすると、どうも原材料の花蜜(今後SAP サップと記載)がまだ集まっていないのだという。予め準備しておくようにと言っておいたのですが。
社長はここで怒っても仕方がないので、アロナさんと一緒にサップを採取する人たちの家にまで取りに行くことになりました。

個人的なレベルでキトゥルハニーを作る場合を除いて、サップを採る人たちと サップを煮てキトゥルハニーを作る人たち、それをマーケットに出す人たちはそれぞれ異なっていることが一般的です。
サップ採集は特殊な技術が必要なので、ただ木登りが出来るからと言ってサップが採れるわけでなく 専門職にお願いして彼らから買う必要があります。

こうした田舎の小さな村ではどのような契約も有効ではなく、ひたすら人同士の信頼関係と彼らの利益になるかどうかによってその後の事業の行き先が大きく変わってくるのです。

工場周辺には代々採集にかかわってきた家がいくつもあり、社長とアロナさんと私は 歩いてサップを提供して欲しいと交渉に行きました。
最初の家では社長も家主も大きな声だったのでまるで争っているように聞こえるほどでしたが顔が笑っているのできっと大丈夫。
○○時までには用意する、ということで丸く収まりました。次の家ではその場で用意してもらい、自分たちで運ぶこととなりました。
20リットルの容器に満タンに入ったサップを持って工場へ。キトゥルハニー1リットル作るために(※糖度にもよりますが)サップは7リットル余り必要です。

工場に着くや否や社長はすぐに、さまざまな計測機を出してサップのデータを収集し始めました。私達はキトゥルハニーの味と色の変化を科学的に解明しなければならず、逆にそれが出来なければ添加物なしでの大量生産は出来ない、という結論に達していました。
スリランカでキトゥルハニーの研究をしている博士たちと共にフォーラムに参加したり ここ1年首までキトゥルに浸かっていましたが、研究の最先端の場でも まだ科学的成分と味の相関関係については判明していないのが現状です。

ひさびさに見た工場の中には、煮詰める為のケトルが4基に増えており、一番の変化は先に書いた工場の隣の大きなボイラー。
以前はケトルは電気によって蒸気をおこして熱していたのですが、これからは薪を使ってボイラーで蒸気をおこしてサップを熱するやり方です。
廃材ではないので空気も汚さず、枝打ちしたり開墾の為に切り出した木を使って効率よく熱に換えるシステムです。廃棄物として出る木灰は町に行けば肥料の材料として売ることもでき、無駄がありません。

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高さ3mはあろうかというボイラーの裏手で 凄まじい噴出音を立てて蒸気が時折吹き出る様子には すごいパワーを感じます。
高温の水蒸気はパイプを通って工場内部のケトル4基に向かっていき、ケトルとパイプはバルブで蒸気が調整できるようにしてあるので、簡単に人の手で調整可能になっています。

夕方、辺りが暗くなり始める前に気温がぐんぐん下がってきたので自宅から持ってきた厚手のジャンパーを着込みました。
靴下を忘れてしまったのは失敗。寒いのでコロンボみたいに蚊がいないのは有難いことです。
その頃になると、約束していたサップが容器に3つ運ばれてきてようやく作り始める準備が整いました。
データを収集してから 洗浄しておいたケトルにサップ30リットルを入れて、バルブを開けて熱し始めると瞬く間に湯気がたち表面が泡立ち始めました。沸点に至るのがとても早い。

ボイラーのほうをラクマールさんが担当し、ちょくちょくこちらの様子も窓から覗いて伺いながら火を絶やさないよう気を配っています。
30リットルのサップを入れてもケトルの半分にも満たないのでかなりバルブを全開にしても吹きこぼれることがありません。そのため かなりの熱量を加えながら攪拌していました。

1時間半ほどたった頃、サップがいつまでたってもキトゥルハニーらしい黄金色にならず白いままなので、社長と私は何かがおかしいと思ったため糖度計で計測すると、なんと83度もある!
キトゥルハニーは73度程度で出来上がるので 急いでバルブを閉めると 計測の為に小瓶に入れた透明に近いキトゥルハニーはたちまち水あめのように固くなり始めました。

一度煮詰まって糖度が上がってしまったら元には戻せないので、社長 渋い顔をして「仕方ない、ハクルにしよう」と皆に指示しました。
閉めたバルブを開けて再度煮詰め直して、固形のハクルを作ります。この固形キトゥルはシンハラ語でハクル、英語でジャグリと呼んでいます。

スリランカでの販売の為のサンプルを作るつもりが残念無念、ハクルに早変わりです。
しかし出来あがるのが早すぎました。
開始から2時間とたっていないのに透明な色のままキトゥルハニーが出来てしまうなんて、ある意味衝撃です。8時間かかっていたものが2時間以内で出来るわけです。サップも鮮度を保ちつつ
光熱費も少なく抑えることができるのですから。
そんなに早く出来るわけがないとたかをくくっていたのが間違ってました。
明日は数分ごとに糖度を計測して見張っていなければ!

糖度の高い透明なキトゥルはサップの香りを残したまま、まろやかな甘みで美味でしたが スリランカ人にこれが見慣れた「キトゥルハニー」として受け入れられるかは大いに疑問です。

出来あがった高温の焦げ茶色のハクルを耐熱手袋をはめて、金型にトントンと入れ 冷やす場所に置いておきます。
ケトルにこびりついたハクルもこそぎ落して大事に瓶に入れて、最後に残ったハクルのカスを工場の皆と一緒に味見。まだ温かい出来たてのハクル。
「ホンダイ、ハクル(とてもいいハクル)」ラクマールさんが食べたとたんに言いました。
サップの酸味をかすかに残し、なおかつ煮込まれたことで旨みを引き出している美味しいハクルでした。

でも失敗作。明日こそはきちんとしたキトゥルハニーを作らなくちゃいけません。

hakuru.jpg 出来たハクル。自家用です。

次回に続く



☆布ナプ フェスタに出展します☆




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